モータや産業機械などに使われるベアリングは、回転する軸を支えながら摩擦を抑え、滑らかな動きを保つ重要な部品です。ベアリングの種類や選び方が適切でないと、振動や発熱、摩耗が生じ、機械の性能低下や寿命短縮につながるおそれがあります。
ベアリングにはさまざまな種類があり、構造や荷重の方向、回転数など確認すべき項目も少なくありません。当記事では、ベアリングの基本的な仕組みや種類、選び方、寿命の考え方、メンテナンス方法までわかりやすく解説します。
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ベアリングとは

ベアリング(軸受)は、荷重を受けながら回転する軸を支える機械要素です。軸を適切な位置に保つとともに、回転部分に生じる摩擦を抑え、滑らかな動きを支えます。
ベアリングは、自動車の車輪やトランスミッションをはじめ、モータ、ポンプ、コンベア、洗濯機、扇風機、ロボットなど幅広い機械に使用されています。英語の「bear」には「支える」という意味があり、ベアリングは回転する機械を安定して動かすうえで欠かせない部品の一つです。
ベアリングの役割
ベアリングの主な役割は、回転する軸を支えながら、軸と周辺部品との摩擦を抑えることです。軸と周辺部品が直接こすれ合うと、滑り摩擦によって摩耗や発熱が生じやすくなります。
転がり軸受では、玉やころなどの転動体を介して軸を支えることで、滑り摩擦を転がり摩擦に置き換え、摩擦抵抗を小さくできます。また、軸の位置を適切に保ち、振れやズレを抑えることも重要な役割です。
摩擦や摩耗、発熱の抑制にもつながるため、ベアリングは機械の安定した運転を支える重要な部品といえます。
ベアリングの基本構造
代表的な転がり軸受は、主に「内輪」「外輪」「転動体」「保持器」で構成されています。内輪は軸側、外輪はハウジング側に取り付けられ、両者の間を玉やころなどの転動体が転がる仕組みです。
保持器には転動体を適切な間隔に保ち、転動体同士の接触を抑える役割があります。製品によっては、異物の侵入や潤滑剤の漏れを抑えるため、シールやシールドを備えたタイプもあります。
内部に使用されるグリースなどの潤滑剤も、摩擦や摩耗を抑えて滑らかな回転を維持するために重要です。
ベアリングの主な種類

ベアリングにはさまざまな種類があり、一つの基準だけでなく、軸を支える仕組みや転動体の形状、受ける荷重の方向など、複数の観点から分類できます。それぞれ適した使用条件が異なるため、特徴を理解したうえで用途に合うものを選ぶことが重要です。
代表的なベアリングの分類と特徴を整理すると、以下のとおりです。
| 分類 | 種類 | 主な特徴 |
| 軸を支える仕組み | 転がり軸受 | 玉やころを転がして軸を支え、摩擦を抑える |
| 軸を支える仕組み | 滑り軸受 | 軸と軸受面が滑り接触し、潤滑剤などを利用して軸を支える |
| 転動体の形状 | 玉軸受 | 玉を使用し、比較的摩擦が小さく高速回転に適する |
| 転動体の形状 | ころ軸受 | ころを使用し、大きな荷重を受けやすい |
| 荷重の方向 | ラジアル軸受 | 軸に対して垂直な方向の荷重を主に受ける |
| 荷重の方向 | スラスト軸受 | 軸と平行な方向の荷重を主に受ける |
分類方法によって比較するポイントが異なります。軸を支える仕組み、転動体の形状、受ける荷重の方向という3つの観点から、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
転がり軸受と滑り軸受
ベアリングは、軸を支える仕組みによって「転がり軸受」と「滑り軸受」に大きく分けられます。転がり軸受は、内輪と外輪の間に玉やころを配置し、転がり運動によって摩擦を抑える構造です。
比較的摩擦が小さく、モータや工作機械、自動車など幅広い用途で使用されています。滑り軸受は、軸と軸受面が滑り接触し、潤滑剤などを利用しながら軸を支える仕組みです。
構造が比較的単純で、種類によっては大きな荷重や衝撃を受ける用途にも用いられます。回転数や荷重、使用環境などを踏まえて使い分けることが大切です。
玉軸受ところ軸受
転がり軸受は、使用する転動体の形状によって「玉軸受」と「ころ軸受」に分けられます。玉軸受は球状の転動体を使用し、軌道面と点に近い状態で接触するのが特徴です。比較的摩擦が小さいため、高速回転や低騒音が求められる小型モータ、家電、精密機器などに適しています。
ころ軸受は、円筒や円すい、針状などの転動体を使用するタイプです。軌道面と線状に接触するため荷重を受ける面が広く、大きな荷重や高い剛性が求められる産業機械、車両、重機などに用いられています。
ラジアル軸受とスラスト軸受
ベアリングは、主に受ける荷重の方向によって「ラジアル軸受」と「スラスト軸受」に分類できます。ラジアル軸受は、軸に対して垂直な半径方向にかかるラジアル荷重を受けるタイプです。プーリーやギヤから軸に加わる力などが該当します。
スラスト軸受は、軸と平行な方向にかかるアキシアル荷重を主に受ける構造です。プロペラの推力など、軸方向に力が加わる用途で使用されます。
ラジアル荷重とアキシアル荷重が同時に加わる場合は、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受など、合成荷重に対応できる種類を選ぶ必要があります。
ベアリングの主な用途

ベアリングは、自動車や工作機械、産業機械、ロボット、家電、精密機器、モータなど、回転する部分を持つ幅広い機械に使用されています。代表的な用途と主に求められる性能は、以下のとおりです。
| 用途 | 使用例 | 主に求められる性能 |
| 自動車 | 車輪、トランスミッションなど | 荷重への対応、耐衝撃性、耐久性 |
| 工作機械 | 主軸、送り機構など | 回転精度、高速回転への対応、剛性 |
| 産業機械 | ポンプ、コンベア、モータなど | 連続運転への対応、耐久性 |
| ロボット | 関節部、回転テーブルなど | 回転精度、省スペース性、複合荷重への対応 |
| 家電 | 洗濯機、エアコン、扇風機など | 低騒音、低振動 |
| 精密機器 | 医療機器、光学機器など | 回転精度、低摩擦、低振動 |
工作機械では回転精度や高速回転への対応、家電では低騒音や低振動など、ベアリングに求められる性能は用途によって異なります。モータの場合も、回転数や荷重、求める寿命などに応じた選定が欠かせません。
ベアリングを選ぶ際は、使用する機械の特性を踏まえ、荷重の大きさや方向、回転速度、精度、使用環境などの条件を整理することが重要です。
ベアリングを選ぶ際のポイント

ベアリングを選ぶ際は、種類だけでなく、実際にかかる荷重や回転数、取付スペース、精度、使用環境などを総合的に確認することが重要です。条件に合わないものを使用すると、発熱や振動、早期摩耗などにつながるおそれがあります。
選定時に確認したい主なポイントは、以下のとおりです。
- 荷重・回転条件
荷重の大きさと方向、使用する回転数、必要な寿命
- 寸法・精度条件
軸径、取付スペース、回転精度、内部すきま
- 使用環境・潤滑条件
使用温度、粉じんや水分、潤滑方法、振動・騒音への要求
ベアリングの選定では、特定の条件だけに着目せず、複数の条件を総合的に確認します。続いて、「荷重・回転数」「寸法・精度」「使用環境・潤滑条件」の3つに分けて詳しく見ていきましょう。
荷重・回転数
ベアリングの選定では、荷重の方向や大きさと回転数を確認する必要があります。軸に対して垂直方向にかかるラジアル荷重と、軸方向にかかるアキシアル荷重の割合によって、適したベアリングの種類は異なります。
回転数については、使用するベアリングの許容回転速度を確認しましょう。高速になるほど内部の摩擦による発熱が大きくなり、潤滑剤の劣化や焼付きにつながる場合があります。
高速回転で使用する場合は、ベアリングの種類だけでなく、潤滑方法やシール、冷却なども含めた検討が必要です。
寸法・精度
ベアリングの寸法は、軸径やハウジングの大きさ、取付スペースに合わせて選定します。機械に求められる回転精度も重要で、精密な回転が必要な用途では、より高い精度を持つベアリングが選択肢となります。
あわせて確認したいのが、内輪・外輪と転動体の間に設けられた「内部すきま」です。内部すきまは、運転中の温度変化や荷重によって変化し、回転性能や振動、発熱、寿命にも影響を及ぼします。
寸法だけで判断せず、精度や内部すきままで含めて仕様を検討することが大切です。
使用環境・潤滑条件
ベアリングは、温度や粉じん、水分などの使用環境と、潤滑条件も踏まえて選ぶ必要があります。使用環境が厳しい場合は、材質やシール、シールドなどを検討し、内部への異物や水分の侵入を抑える対策が欠かせません。
潤滑には主にグリースと油が使われ、回転速度や荷重、温度などに応じて適した方法が異なります。潤滑剤の種類だけでなく、使用量や補給・交換の方法もベアリングの性能や寿命に関わる要素です。
荷重や回転数、寸法などの条件とあわせて総合的に判断しましょう。
ベアリングの寿命と計算方法

ベアリングは長期間使用できる部品ですが、繰り返し荷重を受け続けることで疲労が蓄積し、やがて損傷に至る場合があります。そのため、設計段階で要求する使用期間を満たせるか確認することが重要です。
ここでは、ベアリング寿命の基本的な考え方と計算方法、寿命に影響する主な要因を解説します。
ベアリングの寿命とは
転がり軸受は、回転によって軌道面や転動体に繰り返し力が加わるため、長期間の使用によって材料に疲労が蓄積します。疲労が進むと、軌道面などの一部がうろこ状に剥がれる「フレーキング」が発生する場合があり、転がり疲れによる寿命の目安となります。
ただし、同じ種類のベアリングを同じ条件で使用しても、寿命がすべて同じになるわけではありません。そのため、転がり軸受では統計的な考え方に基づく「基本定格寿命」が用いられます。
基本定格寿命は転がり疲れを基準とした計算上の寿命であり、実際の使用寿命と必ずしも一致するものではありません。実際の寿命には、潤滑状態や温度、異物の侵入、取付状態なども影響します。
基本定格寿命の計算方法
基本定格寿命(L10)は、一群の同じベアリングを同じ条件で運転した場合に、90%が転がり疲れによる損傷を起こさずに回転できる総回転数を表す指標です。
基本定格寿命は、以下の式で求められます。
L10=(C/P)^p × 10⁶[回転]
式で使用する記号の意味は、以下のとおりです。
| 記号 | 意味 |
| L10 | 基本定格寿命(総回転数) |
| C | 基本動定格荷重 |
| P | 動等価荷重 |
| p | 寿命指数(玉軸受:3、ころ軸受:10/3) |
基本動定格荷重(C)は、ベアリングの基本定格寿命を計算する際の基準となる荷重能力を示す値で、製品カタログなどで確認できます。動等価荷重(P)は、実際に作用する荷重を寿命計算に用いる一定の荷重へ置き換えた値です。
回転数が分かれば時間単位の寿命にも換算できるため、必要な運転時間を満たせるか確認する際にも活用できます。
出典:日本精工株式会社(NSK)「基本動定格荷重と疲れ寿命」
ベアリングの寿命を左右する要因
実際のベアリング寿命は、計算で求めた基本定格寿命だけでは決まりません。荷重や回転速度に加え、潤滑状態、温度、異物の侵入、取付精度なども大きく関係します。
たとえば、潤滑が不十分になると転動体と軌道面の摩擦が増え、発熱や焼付きにつながるおそれがあります。粉じんや水分の侵入、軸の傾き、不適切なはめあいも、特定部分への負荷や振動を招く要因です。
こうした要因によって、実際の寿命は計算値より短くなる場合があります。想定した寿命を確保するには、使用環境や取付条件まで含めた検討が欠かせません。
ベアリングを長持ちさせるメンテナンス方法

ベアリングの性能を長く維持するには、適切な選定だけでなく、取付や潤滑、日常的な点検も欠かせません。使用中の異常を早期に把握できれば、突然の故障や機械停止を防ぎやすくなります。
ここでは、ベアリングを長持ちさせるために押さえておきたいメンテナンス方法を紹介します。
適切な取付・潤滑を行う
ベアリング本来の性能を引き出すには、正しい取り付けと適切な潤滑が重要です。取付時に強い衝撃を与えると、軌道面に傷やへこみが生じ、異音や振動、早期損傷につながるおそれがあります。
専用の工具やプレスなどを使用し、適切な方法で取り付けることが大切です。潤滑剤は、転動体と軌道面の摩擦や摩耗を抑える役割を担います。
グリースや油などから、荷重や回転速度、温度といった使用条件に適したものを選びましょう。使用中も必要に応じて潤滑剤の状態を確認し、適切に補給・交換することが長寿命化につながります。
異音・振動・温度変化を確認する
ベアリングの異常を早期に発見するには、運転中の音や振動、温度の変化を定期的に確認することが重要です。普段とは異なる音や振動の増加、異常な温度上昇は、潤滑不良や異物の侵入、疲労による損傷などが生じている可能性を示します。
点検ではベアリング周辺の状態に加え、潤滑剤の変色や硬化、異物の混入なども確認しましょう。必要に応じて振動計や温度計などを活用すれば、目視だけでは分かりにくい変化も把握しやすくなります。
異常を早期に捉えることが、重大な故障や突然の機械停止を防ぐうえで大切です。
モータにおけるベアリングの重要性

モータでは、ベアリングがロータやシャフトなどの回転部分を支え、安定した回転を維持する役割を担います。ベアリングの形式や精度、潤滑状態、取付状態は、モータの振動や騒音、回転精度、寿命を左右する要素の一つです。
最後に、ベアリングがモータ性能に与える影響と、選定時に確認したいポイントを解説します。
ベアリングがモータ性能に与える影響
モータでは、ベアリングがロータやシャフトを適切な位置で支えることで、安定した回転を維持できます。特に高速回転や静粛性、回転精度が求められる用途では、ベアリングの性能や状態がモータ全体の特性を左右する重要な要素です。
精度や内部すきま、潤滑状態、取付状態が使用条件に合っていない場合、軸の振れや摩擦が増え、振動や騒音、発熱につながるおそれがあります。潤滑不良や過度な負荷が続けば、ベアリングの早期損傷を招く原因にもなりかねません。
モータに求める性能や寿命を確保するには、回転数や荷重、静粛性などの要求仕様を踏まえ、用途に適したベアリングを選ぶことが重要です。
モータに適したベアリング選定のポイント
モータ用のベアリングは、回転数や荷重だけでなく、サイズ、要求寿命、使用温度、静粛性なども踏まえて選ぶことが重要です。まず、モータの最高回転数に対応できるかを確認し、軸に加わる荷重の大きさや方向も考慮します。
小型モータでは搭載できるスペースが限られるため、軸径や外径、幅などの寸法も重要な条件です。静粛性が求められる用途では振動や騒音、厳しい温度環境で使う場合は潤滑剤や密封方式についても確認が必要となります。
最終的には、こうした条件をモータ全体の要求仕様と照らし合わせ、適したベアリングを絞り込みます。
まとめ

ベアリングは、回転軸を支えて摩擦を抑えるだけでなく、機械やモータの回転精度、振動、騒音、寿命にも関わる重要な部品です。安定した性能を引き出すには、荷重や回転数、寸法、使用環境などを踏まえ、用途に適した種類や仕様を選ぶ必要があります。
タキロンシーアイでは、コアレスモータやブラシレスモータを取り扱っています。用途や必要な回転数、トルク、サイズに応じたモータ選定でお悩みの場合は、製品仕様の確認や選定についてお気軽にご相談ください。
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- 製品サイト:https://cik-ele.com/
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