マイクロモータ製品サイト
Home > モータと歯車の選定方法と計算式
コラム記事マイクロモータ技術解説
コラム記事
モータと歯車の選定方法と計算式

モータと歯車の選定方法と計算式

ギアヘッド コアレスモータ ブラシレスモータ トルク モータ 減速比 伝達効率 歯車 平歯車 遊星歯車

モータと歯車を組み合わせると、回転速度を減速しながらトルクを増幅し、用途に応じた出力特性を得られます。モータ単体は高速回転で動作するため、産業機器で求められる低速・高トルクの出力を実現するには、歯車による減速機構を用いることが一般的です。

適切な組み合わせを選ばなければ、効率低下や早期故障の原因となります。設計段階で必要なトルクと回転数を明確にし、減速比を算出した上で歯車の種類を決定する流れが基本です。

本記事では、モータと歯車による動力伝達の原理から、減速比・トルクの計算式、歯車タイプ別の特徴と選定基準、産業分野ごとの応用例までを解説します。コアレスモータとギアヘッドの組み合わせについても紹介しますので、製品開発における小型モータの選定にお役立てください。

 
監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ

1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。

 

モータと歯車による動力伝達の原理

モータと歯車の選定方法と計算式

モータの回転出力を用途に合わせて変換するには、歯車の減速機構を用いることが一般的です。ここでは、動力伝達の基本と計算式を解説します。

このセクションで解説する内容

  • モータの出力特性と歯車の必要性
  • 減速比とトルク増幅の計算式
  • 伝達効率による動力損失

減速比やトルクの計算式を理解すると、必要な出力仕様から逆算して最適な歯車構成を決定できます。

 

モータの出力特性と歯車の必要性

小型モータの出力特性は、一般的に高速回転・低トルクの傾向にあります。

しかし、医療機器や電動工具などの産業用途では、低速回転でも大きなトルクが欠かせません。モータ単体の出力特性と用途の要求仕様には大きなギャップがあり、歯車による減速機構がその差を埋める役割を担います。歯車を介して回転速度を落とすと、その分だけトルクが増幅される仕組みです。

 

減速比とトルク増幅の計算式

減速比とトルクの関係は、以下の計算式で表されます。

項目計算式
減速比(i)i = 出力側歯数 ÷ 入力側歯数
出力トルク(Tout)Tout = Tin × i × η
出力回転数(Nout)Nout = Nin ÷ i

※ Tin:入力トルク、η:伝達効率、Nin:入力回転数

例えば、入力トルク1mNm、減速比10、伝達効率90%の場合、出力トルクは1mNm × 10 × 0.9 = 9mNmです。マイクロモータの領域ではmNm単位のトルクを扱うため、減速比の設定が出力性能を大きく左右します。必要なトルクと回転数から逆算し、最適な減速比を決定してください。

製品紹介の「ギアヘッドとは」にも記載しておりますので、ご覧ください。

https://cik-ele.com/products/list/gearhead/

伝達効率による動力損失

歯車の伝達効率は歯車の種類によって異なります。多段減速を用いる場合には、各段の効率を掛け合わせて総合効率を算出する仕組みです。

タキロンシーアイのギアヘッド製品では仕様上、平歯車は約0.9、遊星歯車は約0.85の伝達効率で設定しています。

【多段減速の効率計算例(伝達効率を平歯車は0.9、遊星歯車は0.85で計算した場合)】

  • 平歯車2段:9 × 0.9 = 0.81(81%)
  • 平歯車3段:9 × 0.9 × 0.9 = 0.729(約73%)
  • 遊星歯車2段:85 × 0.85 = 0.7225(約72%)

段数が増えると総合効率は低下し、動力損失が大きくなります。設計段階では、必要な減速比を最小限の段数で実現する構成を検討し、効率とサイズのバランスを確認してください。

 

モータに適した歯車タイプの選び方

モータと歯車の選定方法と計算式

モータと組み合わせる歯車は、用途の要求仕様によって最適なタイプが異なります。ここでは、代表的な2種類の歯車を比較し、選定の判断基準を示します。

このセクションで解説する内容

  • 平歯車を選定する条件
  • 遊星歯車で高トルクを伝達する
  • 判断基準でチェックする

それぞれの歯車が持つ構造的な特徴と性能差を把握した上で、設計条件に合った歯車タイプを選定しましょう。

 

平歯車を選定する条件

平歯車は、かみ合う2つの歯車の軸が平行になるシンプルな構造です。部品点数が少なく、製造コストを抑えられる点が特徴です。

伝達効率は1段あたり約90%と高く、機械的なロスが少ないため、省エネルギー性能を求める用途に適しています。実際の設計では1段あたりの減速比を2.5〜3倍程度に収めるのが一般的で、大きな減速比を得るには段数を増やす必要があり、サイズと重量が増加しかねません。

こうした制約に対し、タキロンシーアイではφ12、φ16の平歯ギアヘッドを使ったギアードモータをラインアップしており、小型機器への組み込みを可能にしています。

 

遊星歯車で高トルクを伝達する

遊星歯車は、中心の太陽歯車(サンギア)、周囲の遊星歯車(プラネタリギア)、外側の内歯車で構成されます。複数の遊星歯車に負荷が分散されるため、許容トルクが大きくなる特徴があります。

伝達効率は1段あたり約85%で、平歯車の約90%よりやや低い値となります。遊星歯車は精度の高い加工を要するためコストは上がりますが、高トルクと省スペースの両立が求められる用途には最適です。また、遊星歯車は多段構成でスムーズな高減速比も実現できます。タキロンシーアイではφ16、φ22の遊星ギアヘッドを使ったギアードモータを提供しています。

 

判断基準でチェックする

歯車タイプの選定では、以下の5つの要素を総合的に評価します。

【歯車選定の判断基準】

  • 必要トルク(mNm単位で算出)
  • 目標回転数(r/minで設定)
  • 設置スペース(外径・全長の制約)
  • コスト(製品単価と製造コスト)
  • 騒音レベル(使用環境の許容値)

高効率かつ低コストを優先する場合は平歯車が適しています。一方、限られたスペースで高トルクを確保する必要がある場合は遊星歯車を選定してください。実際の設計では、上記の基準に加え、耐久性や動作温度範囲といった環境条件も考慮し、最適な歯車タイプを絞り込みます。

 

モータと歯車の選定フローと応用例

モータと歯車の選定方法と計算式

モータと歯車の選定は、用途ごとの要求仕様に基づいて進めます。ここでは、選定の実務フローと産業分野別の応用例を紹介します。

このセクションで解説する内容

  • 医療機器における精密制御を実現する
  • 電動工具における高トルク出力を確保する
  • 光学機器における高速応答を実装する

選定フローは、以下の5ステップで進めます。

【モータと歯車の選定フロー】

  1. 要求仕様の明確化(トルク・回転数・精度・サイズ)
  2. 必要トルクと回転数の算出
  3. 減速比の決定
  4. 歯車タイプの選定(平歯車 or 遊星歯車)
  5. 効率・サイズ・コストの最終確認

用途によって求められる性能が異なるため、各産業分野の具体例をもとに選定のポイントを解説します。

 

医療機器における精密制御を実現する

医療機器では、高い位置決め精度と低振動・低騒音の駆動性能が求められます。例えば、超音波内視鏡やサージカルドリルでは、微細な動作を制御する必要があり、モータ選定の段階からコギング(回転ムラ)の低減が重要な検討項目です。

コアレスモータはロータに鉄芯を持たない構造のため、原理的にコギングがほとんど発生せず、滑らかな回転を実現します。慣性モーメントも小さく、起動・停止時の応答性に優れています。平歯ギアヘッドと組み合わせると、高い伝達効率を維持しながら精密な速度制御が可能です。タキロンシーアイでは、コアレスモータとφ12・φ16の平歯ギアヘッドの組み合わせたギアードモータで、医療機器向けの精密駆動に柔軟に対応出来ます。

 

電動工具における高トルク出力を確保する

電動工具では、ネジ締めや穴あけといった作業時に大きなトルクが求められます。遊星歯車は複数の遊星歯車に負荷を分散させる構造のため、許容トルクを大きく確保できるのが特徴です。また、入力軸と出力軸を同一軸上に配置できることから、ハンディ機器に不可欠な省スペース設計にも柔軟に対応できます。

遊星歯車はユニット同士を多段接続して高減速比を得られるため、小型モータの高速回転を低速・高トルクへ変換する用途に最適です。タキロンシーアイではφ16、φ22の遊星ギアヘッドとコアレスモータを組み合わせたギアードモータを提供しています。

光学機器における高速応答を実装する

光学機器では、カメラのオートフォーカスやレンズ駆動に高速応答性が求められます。さらに、レンズ位置を緻密に制御するためには、素早い加減速と正確な停止精度が同時に必要です。

ブラシレスモータは、ブラシを用いない構造により機械的接触が少ないため、長寿命でメンテナンス負荷を抑えられるのが利点です。高速回転域でも安定したトルク出力を維持できる点が、光学機器への適用に向いています。小型ギアヘッドとの組み合わせで、低振動かつ高速な位置決めを実現し、画質への影響を低減できます。タキロンシーアイでは、ブラシレスモータとギアヘッドの組み合わせを開発品として対応可能です。※要相談

 

まとめ

モータと歯車の選定方法と計算式

モータと歯車の選定は、減速比とトルクの計算式を正しく理解するところから始まります。製品や条件にもよりますが、平歯車は伝達効率約90%でシンプルかつ低コスト、遊星歯車は伝達効率約85%ながらコンパクトで高トルク伝達に対応できる構造です。

医療機器では精密制御と低振動、電動工具では高トルクとコンパクト性、光学機器では高速応答性といった各分野の要求仕様に合わせて、モータと歯車の最適な組み合わせを選定してください。

選定の際には、必要トルク・回転数の算出 → 減速比の決定 → 歯車タイプの選定 → 効率・サイズの確認というフローに沿って進めると、設計段階でのミスマッチを防げます。

 

製品情報・お問い合わせ

タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。

お客様の製品開発における小型モータ選定でお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。技術担当者が用途や要件をヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。

 

 

お問い合わせ

    1. お問い合わせ内容

    2. お客様情報 ※: 必須項目

    ◆会社名/団体名

    ◆氏名

    ◆郵便番号

    ◆住所

    ◆建物名

    ◆電話番号

    ◆e-mail

    ◆e-mail(確認用)

    個人情報保護方針をご確認いただき、同意の上「確認画面へ進む」ボタンを押してください。

    営業・勧誘目的としたお問い合わせはご遠慮ください

    確認画面へ進む