中空モータは、回転軸の中心部に貫通穴を設けたモータです。中空部にケーブルや配管、シャフトなどを通せるため、限られたスペースでの配線・配管の取り回しを改善し、装置の小型化や設計自由度の向上につなげられます。
選定時には中空径だけでなく、必要なトルクや回転数、サイズなどを装置の仕様に合わせて検討することが重要です。当記事では、中空モータの構造や通常のモータとの違いをはじめ、メリット・注意点、主な用途、選定時に確認したいポイントまでわかりやすく解説します。
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中空モータとは

中空モータとは、一般的な中実軸のモータとは異なり、回転軸の中心部に貫通穴があるモータを指します。中心部の空間を配線や配管、シャフトなどの経路として活用できます。
中空部を有効活用すれば、モータ周辺に配置する配線や配管を減らすことができ、装置の省スペース化やレイアウトの自由度向上につながります。また、構成によっては被駆動軸との直結も可能です。
中空モータは単純な性能の優劣で判断するのではなく、装置の構造や用途、必要な中空径などを踏まえて選定することが重要です。
中空モータの構造・仕組み
中空モータは、一般的なモータと同じく、主にステータ(固定子)とロータ(回転子)で構成されています。大きな特徴は、ロータや回転軸の中心部に貫通穴を設けている点です。
中空部には、電源・信号ケーブルやエアチューブ、シャフトなどを通せるため、モータの外側に配置する部品や配線を減らせます。製品や装置の構成によっては、中空部に被駆動軸を通して固定し、モータと直接接続することも可能です。
中空構造を利用することで、限られたスペースを有効活用しながら駆動機構を構成しやすくなります。
通常のモータとの違い
通常のモータと中空モータの主な違いは、回転軸の中心部を利用できるかどうかです。一般的な中実軸のモータでは軸端から動力を伝えるのに対し、中空モータは中心部に貫通穴があり、配線や配管、シャフトなどを通せます。
主な違いを以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 通常のモータ(中実軸) | 中空モータ |
| 軸の構造 | 中心部まで詰まった中実軸 | 中心部に貫通穴がある |
| 中心部の利用 | 基本的に利用できない | 配線・配管・シャフトなどを通せる |
| 被駆動軸との接続 | カップリングなどを介して接続する構成が多い | 中空部に軸を通して直接接続できる構成もある |
| 適した用途 | 一般的な駆動用途 | 配線経路の確保や省スペース化が求められる用途 |
中空モータは、配線経路の確保や装置の省スペース化が求められる用途で有効です。ただし、通常のモータより性能面で優れているという意味ではありません。
装置の構造や用途、必要なトルク・回転数などを踏まえて使い分けることが重要です。
中空モータのメリット

中空モータは、中心部の空間を有効活用できるため、装置の小型化や配線・配管の取り回し改善などに役立ちます。装置の構成によっては、部品点数や組立工数の削減につながることも特徴です。
ここでは、中空構造を採用する主なメリットを紹介します。
配線・配管を中空部に通せる
中空モータの大きなメリットは、中心部にケーブルや配管などを通せることです。電源線や信号線、エアチューブなどを中空部にまとめることで、モータの外側を通る配線・配管を減らし、装置内部を整理しやすくなります。
特に可動部では、周囲の部品とケーブルが干渉したり、繰り返しの動作によって負荷がかかったりする場合があります。適切に配線すれば、周辺部品との干渉を抑え、ケーブルを保護しやすくなる点もメリットです。
ロボットなど複数の関節を持つ装置では、配線をまとめることで保守点検もしやすくなります。
装置の省スペース化につながる
中空モータを採用すると、配線や配管、シャフトなどを中心部へ通せるため、モータ周辺のスペースを有効活用できます。外側に配線経路を確保する必要が少なくなり、装置全体をコンパクトに設計しやすくなる点がメリットです。
また、構成によっては被駆動軸との直結が可能となり、カップリングやベルト、プーリなどの伝達部品を減らせる場合もあります。限られた空間に駆動機構や配線を収める必要があるロボットの関節部や自動化装置などでは、中空構造を活かした省スペース設計が有効です。
設計・組立の自由度を高められる
中空部を配線や配管、シャフトなどの経路として利用できるため、装置レイアウトの選択肢を広げられることもメリットです。モータの外側だけで配線経路を考える必要がなく、限られた空間でも装置の構成を検討しやすくなります。
また、被駆動軸と直接接続できる構成では、カップリングなどの伝達部品を省略でき、部品点数や組立工数の削減につながる場合があります。製品や構造によっては軽量化が可能なケースもありますが、中空モータを採用する際は、軽量化だけでなく装置全体の構成を踏まえて検討することが重要です。
中空モータのデメリット・注意点

中空モータには多くのメリットがある一方、すべての用途に適しているわけではありません。必要な中空径だけで選ぶのではなく、モータの性能やコスト、周辺機器との組み合わせまで考慮することが重要です。
ここでは、採用前に確認しておきたい注意点を解説します。
中空径とモータ性能のバランスを考慮する
中空モータを選ぶ際は、必要な中空径とモータ性能のバランスを確認することが重要です。大きな中空径を確保する場合、外形寸法や内部構造との兼ね合いから、必要なトルクや剛性を同時に満たせるか確認する必要があります。
中空径が同じでも、確保できるトルクや回転数、外形寸法などは製品によって異なります。中空部へ通す配線やシャフトに必要な径を明確にしたうえで、トルク・回転数・サイズ・軸にかかる荷重なども確認し、装置全体の要求仕様に合った製品を選びましょう。
コストや周辺機器との組み合わせを確認する
中空モータを採用する際は、モータ本体の価格だけでなく、周辺機器や組み込みにかかるコストまで確認する必要があります。中空構造を持つ製品は、同等クラスの中実軸モータと比べて価格が高くなる場合もあるため、導入によって得られるメリットを含めて判断することが大切です。
また、ギアヘッドやエンコーダ、ドライバなどを組み合わせる場合は、各機器の仕様や接続方法についても確認が必要です。直結によって部品を減らせる構成でも、取付方法によって設計・組立工数は変わります。
モータ本体だけで判断せず、装置全体のコストや保守性まで含めて評価しましょう。
中空モータの主な用途・活用例

中空モータは、中心部に配線や配管、シャフトなどを通せる特徴を活かし、さまざまな機器や装置に利用されています。特に、省スペース化や複雑な配線の整理が求められる用途で有効です。
代表的な用途と中空部の活用方法を以下にまとめました。
| 用途例 | 中空部の主な活用方法 |
| ロボット | 信号ケーブルやエアチューブなどを通す |
| 搬送装置・ローラー駆動 | ローラー軸などを通して駆動部を構成する |
| スピンコータ | 空気を吸引する経路として利用する |
中空部の使い方は、装置の構造や目的によって異なります。ここからは、ロボット・自動化装置と精密機器・産業装置に分けて、具体的な活用例を紹介します。
ロボット・自動化装置
中空モータは、ロボットアームの関節や旋回軸などに活用されています。中空部に先端側へつながる信号ケーブルやエアチューブなどを通すことで、関節の外側を通る配線を減らし、周辺の機構をコンパクトにまとめやすくなるためです。
また、配線や配管を内部に通せば、ロボットの動作による周辺部品との干渉を抑えやすくなります。搬送装置をはじめとする自動化装置でも、中空構造を活用することで、限られた設置スペースに駆動部や配線を収めやすくなる点がメリットです。
精密機器・産業装置
中空モータは、ローラー駆動やスピンコータをはじめ、精密機器・産業装置にも活用されています。ローラー駆動では、中空部にローラー軸を通して直接接続することで、構成によってはカップリングなどの部品を減らし、駆動部をコンパクトに設計できます。
スピンコータは、ウェハや基板などの被処理物を回転させ、遠心力を利用して液体を薄く均一に塗布する装置です。中空部から空気を吸引して被処理物を固定しながら回転させる構成にも、中空モータが用いられます。
軸を通す、空気の通り道にするといったように、中空部を装置の目的に合わせて活用できる点が特徴です。
中空モータを選ぶ際のポイント

中空モータの選定では、中空径だけを基準にすると、必要な駆動性能や設置条件を満たせない可能性があります。必要なトルクや回転数、外形寸法、設置環境など、装置側の要求仕様を整理して製品を比較することが大切です。
選定時に確認したい主な項目は、以下のとおりです。
- 中空部に通すものと必要な中空径
- 必要なトルク・回転数
- モータの外径・全長・重量
- 使用温度や湿度などの設置環境
- ギアヘッドやエンコーダ、ドライバとの適合
- 配線・配管の取り回しや保守性
中空径だけで製品を絞り込むのではなく、装置全体の構成まで考慮して選定することが大切です。ここからは、特に確認しておきたいポイントを詳しく解説します。
必要な中空径を確認する
中空モータを選ぶ際は、まず中空部に何を通すのかを明確にし、必要な中空径を確認しましょう。電源・信号ケーブルやエアチューブ、シャフトなどでは、必要となるスペースがそれぞれ異なります。
ケーブルを複数本まとめる場合は、単純に外径を確認するだけでなく、束ねたときの太さや取り回しも考慮することが大切です。エアチューブなどを通す場合も、無理なく配置できる余裕を確保する必要があります。
実際の組み込み方まで想定したうえで必要な中空径を決め、条件を満たす製品を絞り込みましょう。
トルク・回転数を確認する
必要な中空径を確保できても、装置に求められるトルクや回転数を満たせなければ、適切なモータとはいえません。駆動する負荷の大きさから必要なトルクを求め、装置の速度や加減速などの動作条件から回転数を確認することが重要です。
製品を比較する際は、定格トルクや最大トルク、最高回転数などを確認しましょう。始動時や加減速時には一時的に大きなトルクが必要になる場合もあるため、通常運転だけで判断しないことがポイントです。
負荷や運転条件を踏まえ、余裕を持って選定する必要があります。
サイズ・設置条件を確認する
中空径や駆動性能に加えて、モータを装置へ無理なく組み込めるかどうかも確認が必要です。外径や全長、重量が設置スペースに収まるかを確認し、使用温度や湿度などの環境条件も製品仕様と照らし合わせます。
ギアヘッドやエンコーダ、ブレーキ、ドライバなどを使用する場合は、接続方法や仕様が適合するかを確認します。配線・配管の取り回しや保守のしやすさ、組立工数も見落とせないポイントです。
こうした条件を含め、モータ単体ではなく装置全体の構成やコストから判断する必要があります。
まとめ

中空モータは、中心部に配線や配管、シャフトなどを通せる構造を活かし、装置の省スペース化や設計自由度の向上に役立ちます。ロボットや自動化装置をはじめ、限られたスペースを有効活用したい用途で有力な選択肢となるモータです。
選定する際は、中空径だけでなく、必要なトルクや回転数、外形寸法、周辺機器との組み合わせまで総合的に検討する必要があります。
タキロンシーアイでは、用途や要求仕様に応じたモータ選定・開発のご相談を承っています。中空モータの仕様や選定についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
製品情報・お問い合わせ
タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。
- 製品サイト:https://cik-ele.com/
- コアレスモータ:https://cik-ele.com/products/list/coreless_motor/
- ブラシレスモータ:https://cik-ele.com/products/list/brushless_motor/
- ギアードモータ:https://cik-ele.com/products/list/gearhead/
- エンコーダ:https://cik-ele.com/products/list/encoder/
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