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減速機とは?仕組みから種類・選定方法まで製品設計に役立つ基礎知識

減速機とは?仕組みから種類・選定方法まで製品設計に役立つ基礎知識

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産業機器、医療機器、光学機器など、モータを動力源とする製品設計において、「減速機」は性能を左右する重要な要素部品です。モータ単体では得られない高トルクの出力や精密な位置決め制御を実現するため、多くの機器に組み込まれています。

しかし、「減速機とは何か」「どの種類を選ぶべきか」「自社製品に最適な仕様は何か」といった疑問を持つ設計エンジニアの方も多いのではないでしょうか。減速機の選定を誤ると、トルク不足による動作不良や、サイズオーバーによる設計変更、さらには製品寿命の短縮といったリスクを招きかねません。

本記事では、減速機の基本的な仕組みから種類別の特徴、実際の用途、選定時のポイントまで、仕様検討段階で必要となる実践的な知識を解説します。*

*当社では減速機(ギアヘッド)単体での販売は行っていません。減速機とモータを組み合わせたギアードモータの開発・販売を行っています。

 
監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ

1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。

 

減速機とは?基本原理と必要性

減速機とは?仕組みから種類・選定方法まで製品設計に役立つ基礎知識

減速機は、歯車などの機構によりモータの回転を減速し、トルク(回転力)を増大させる装置です。回転速度とトルクは反比例の関係にあるため、減速することで大きな力を得られます。

このセクションで解説する内容

  • 減速機の基本構造と動作原理
  • 減速比とトルクの関係性
  • モータ単体の限界と減速機の必要性

この原理は自転車の変速ギアと同じで、重いギアでは速く走れますが坂道は登りにくく、軽いギアでは速度は落ちますが強い力で坂道を登れます。モータ単体で高トルクを得ようとすると大型化が必要ですが、減速機を組み合わせることで、小型モータでも必要なトルクを確保でき、装置の小型化、省電力化、精密な位置決め制御が可能になります。

 

減速機の基本構造と動作原理

減速機のもっとも基本的な構造は、歯数の異なる2つの歯車を組み合わせたものです。小さな歯車(入力側)から大きな歯車(出力側)へ動力を伝達する際、歯数の比率に応じて回転速度が減速されます。

例えば、入力側の歯数が10、出力側の歯数が50の場合、減速比は5:1となり、回転速度は1/5に減速される一方、トルクは約5倍に増大します。この歯車の機械的原理により、小さな入力で大きな出力を得ることが可能です。複数段の歯車を組み合わせることで、さらに大きな減速比を実現でき、用途に応じた最適なトルクと回転速度のバランスを設計できます。

 

減速比とトルクの関係性

減速比とは、入力軸の回転数に対する出力軸の回転数の比率を表す数値です。減速比が大きいほど回転c速度は遅くなり、トルクは大きくなります。ただし、実際に得られる出力トルクは、減速比に伝達効率を乗じた値となります。

歯車式減速機の伝達効率は、メーカーや仕様により異なりますが、平歯車で95~98%程度、遊星歯車で96~98%程度です。減速段数が増えるほど効率は低下します。例えば、減速比10:1、伝達効率95%の減速機では、モータのトルクが0.1Nmの場合、出力トルクは約0.95Nm(0.1×10×0.95)です。用途に応じて適切な減速比を選定することが、機器の性能を最大限に引き出す鍵となります。

 

モータ単体の限界と減速機の必要性

モータ単体で高トルクを得ようとすると、モータ自体を大型化する必要があり、重量増加、消費電力増加、コスト上昇といった問題が生じます。また、高速回転するモータを直接制御すると、位置決め精度が低下し、微細な制御が困難になります。

減速機を組み合わせることで、装置の省スペース化とコスト削減が可能です。さらに、回転速度を落とすことで制御の分解能が向上し、精密な位置決めが可能になります。

 

減速機の種類・特徴と用途分野

減速機とは?仕組みから種類・選定方法まで製品設計に役立つ基礎知識

減速機は使用する歯車の種類や配置により、いくつかのタイプに分類されます。代表的なものとして、平歯車減速機、遊星歯車減速機、ウォーム減速機、波動歯車減速機があります。

このセクションで解説する内容

  • 減速機の主な種類と特徴・用途
  • 減速機(ギアヘッド)とギアードモータの違い
  • ギアードモータ(減速機と一体化されたモータ)の主な用途分野と具体例

平歯車式はシンプルな構造でコスト面に優れ、幅広い用途に対応します。遊星歯車式はコンパクトで高トルク伝達に適し、スペースが限られた用途に最適です。ウォーム式は高減速比と保持性を持ち、波動歯車式は高精度な位置決めが求められる用途に使用されます。タキロンシーアイでは、平歯車式や遊星歯車式のギアヘッドとコアレスモータを組み合わせたギアードモータを提供し、医療・光学・セキュリティ分野を中心に採用実績があります。

 

減速機の主な種類と特徴・用途

 減速機には主に4つのタイプがあり、以下に主な特徴をまとめます。
種類特徴用途一例
平歯車減速機

(スパーギア式)

構造がシンプルで製造コストが低く、静音性に優れる。伝達効率も高い(95~98%)汎用産業機器

小型電動工具

遊星歯車減速機

(プラネタリギア式)

複数の歯車が同時に荷重を分担するため小型・高トルクを実現。入出力軸が同軸配置可能医療機器

ロボット

光学機器

ウォーム減速機1段で高減速比を実現でき、自己保持性があり逆回転を防止(条件次第で逆駆動するタイプもあります。)リフト機構

巻上機

波動歯車減速機バックラッシュがほぼゼロで超高精度な位置決めが可能だが高価産業用ロボット

半導体製造装置

平歯車式は構造がシンプルで量産性に優れ、コストパフォーマンスが高い点が特徴です。遊星歯車式は入力軸と出力軸が同軸配置できるためスペースが限られた用途に適しており、タキロンシーアイのギアードモータのギアヘッドでも採用されています。

減速機(ギアヘッド)とギアードモータの違い

減速機(ギアヘッド)はモータの出力軸側に直接取り付けるものを指します。一方、減速機(ギアヘッド)とモータを組み合わせて一体化されている製品が「ギアードモータ」です。タキロンシーアイは、ギアードモータを販売しており、コンパクトでありながら高い伝達効率を両立しています。

モータと減速機の一体化は、据え付けの容易化や設置面積の削減、さらには配線の簡素化に有効です。モータ特性に最適化された減速比や取り付け寸法の選定が可能なため、システム全体の効率向上に貢献します。タキロンシーアイでは、ギアードモータ(モータと減速機の一体型製品)として提供しており、お客様の設計工数削減にも寄与しています。

 

ギアードモータ(減速機と一体化されたモータ)の主な用途分野と具体例

ギアードモータは幅広い分野で使用されています。以下に主な用途例を示します。

【ギアードモータの主な用途分野】

産業用ロボット:多関節ロボット、協働ロボット

医療機器:内視鏡カメラ駆動、歯科治療機のハンドピース

工具:電動ドリル、インパクトドライバー、釘打ち機

光学機器:カメラのオートフォーカス機構、監視カメラのパン・チルト機構

セキュリティ機器:電子錠、自動開閉ゲート

ホビー用途:ラジコンサーボモータ

タキロンシーアイのギアードモータは、小型・高精度が強く求められる医療・光学分野で貢献出来ます。例えば、内視鏡カメラは狭い体内で正確な位置決めを必要とするため、コンパクトでバックラッシュの小さい遊星歯車式ギアヘッドが最適です。また、省電力と長寿命が必須となる電子錠では、高効率なギアードモータが活躍出来るかもしれません。

 

減速機選定時の重要ポイント

減速機とは?仕組みから種類・選定方法まで製品設計に役立つ基礎知識

減速機を選定する際は、必要トルクや減速比、バックラッシュ、サイズ、使用環境など、複数の要素を総合的に検討する必要があります。

このセクションで解説する内容

  • 必要トルクと減速比の算出方法
  • バックラッシュと位置決め精度の関係
  • 使用環境に応じた選定基準

第一に、駆動対象物の負荷から必要トルクを算出し、モータ出力と減速比を決定します。次に、位置決め精度が求められる場合はバックラッシュの小さい機種を、設置スペースに制約がある場合はコンパクトな遊星歯車式を検討します。また、使用温度範囲、防塵・防水性能、耐衝撃性、騒音レベルといった使用環境も重要な選定基準です。タキロンシーアイでは、仕様検討段階からお客様と対話し、最適なモータとギアヘッドの組み合わせをご提案し、高品質と柔軟なカスタマイズ対応を実現しています。

 

必要トルクと減速比の算出方法

減速機選定の第一歩は、駆動対象物に必要なトルクの算出です。負荷の重量、移動距離、加速度、摩擦係数などから必要トルクを計算します。

基本的な計算式は以下のとおりです。

【必要トルクの計算】

モータ出力トルクの計算

モータ出力トルク=モータ定格トルク×減速比×減速機効率

計算例:モータ定格トルク0.2Nm、減速比10:1、減速機効率95%の場合

モータ出力トルク=0.2×10×0.95=1.9Nm

モータ必要トルクの決定

モータ必要トルク(Nm)=モータ軸換算トルク(Nm)×安全率

計算例:負荷トルク0.5Nmの場合、安全率2.0の場合

モータ必要トルク=0.5×2.0=1.0Nm

安全率を考慮し、計算値よりも余裕を持った仕様を選定することで、長期的な信頼性を確保できます。タキロンシーアイのマイクロモータは小型でありながらmNmレベルの精密なトルク制御が可能であり、医療機器や光学機器などの高精度用途に最適です。

 

バックラッシュと位置決め精度の関係

バックラッシュとは歯車間の隙間(遊び)のことで、位置決め精度に直接影響します。高精度な制御を要する医療機器や光学機器では、用途に応じて低バックラッシュ仕様が不可欠です。

遊星歯車式は構造上バックラッシュを抑えやすく、波動歯車式はほぼゼロの状態を実現できます。実際の選定にあたっては、コストと用途のバランスを考慮しなければなりません。例えば、カメラのオートフォーカス機構では、レンズ位置を正確に制御する必要があるため、バックラッシュの小さい遊星歯車式ギアヘッドが適しています。タキロンシーアイの製品はこの要求に対応しており、医療・光学分野で高い評価を得ています。

 

使用環境に応じた選定基準

使用温度範囲、防塵・防水性能(IP規格)、耐衝撃性、騒音レベルなど、使用環境に応じた選定基準があります。以下に分野別の主な要求仕様を示します。

用途分野主な要求仕様
医療機器低騒音、滅菌対応、生体適合性
工具高い耐衝撃性、防塵性能
セキュリティ機器屋外設置を想定した低温起動性、長寿命
光学機器低振動、高精度位置決め

医療機器では患者への配慮から低騒音が、工具では現場環境に耐える耐衝撃性が、セキュリティ機器では屋外設置を想定した低温起動性が重視されます。タキロンシーアイでは、お客様の使用環境に応じたギアードモータのカスタマイズに対応し、高品質と小ロット試作から量産までの柔軟な対応を実現しています。仕様検討段階からお気軽にご相談ください。

 

まとめ

減速機とは?仕組みから種類・選定方法まで製品設計に役立つ基礎知識

減速機は、モータの回転速度を減速してトルクを増大させる装置であり、産業機器、医療機器、光学機器など幅広い分野で活用されています。モータ単体では実現できない高トルクや精密な制御を可能にし、装置の小型化と高性能化を両立させる重要な役割を担う存在です。

平歯車式や遊星歯車式といった種類ごとの特徴を把握し、必要トルク、バックラッシュ、使用環境などを総合的に検討することで、最適な減速機の選定が可能となります。タキロンシーアイでは、コアレスモータと減速機を組み合わせた最適なソリューションを提供し、仕様検討段階からお客様の製品設計をサポートしています。

 

製品情報・お問い合わせ

タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。

お客様の製品開発における小型モータ選定でお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。技術担当者が用途や要件をヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。

 

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