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モータのトルク計算|求め方と選定への生かし方

モータのトルク計算|求め方と選定への生かし方

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モータを選定する際、トルクの計算は避けて通れない工程です。トルクとは、回転軸まわりに物体を回転させる力の大きさを表す物理量です。モータの出力や回転数との関係が深く、算出を誤ると装置が正常に動作しないおそれがあります。反対に、過剰なスペックのモータを選んだ場合は、コスト増大や設置スペースの圧迫を招くため注意が必要です。

本記事では、トルクの基本的な定義と単位の使い分けから、出力と回転数を用いた計算式「T=9550×P/N」の使い方を解説します。モータ選定で考慮すべき負荷トルクや安全率の考え方、ギアードモータによるトルク増大の仕組みまで、実務に役立つ情報を整理した内容です。小型モータで用いられるmN·m(ミリニュートンメートル)単位の扱いにも触れており、マイクロモータの選定を検討中の方にもご活用いただけます。

 
監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ

1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。

 

トルク計算の前に押さえたい基本と単位

モータのトルク計算|求め方と選定への生かし方

トルク計算を正確に進めるには、基本的な定義と単位の理解が前提です。

このセクションで解説する内容

  • 力と距離の積で求めるトルクの基本
  • 単位N·mとmN·mの使い分け
  • トルクと回転数の反比例の関係

モータ選定の計算に入る前に、基礎知識を順に確認します。

力と距離の積で求めるトルクの基本

トルクは「力(F)×回転軸からの距離(L)」の積で求められます。例えば、レンチでボルトを締める場面では、回転中心から離れた位置を握るほど小さな力で回転させられる仕組みです。

てこの原理と同じ考え方で、力の作用点と回転軸の距離が長くなるほど回転力は大きくなります。トルクの値が大きいモータほど、重い物体を動かしたり強い荷重に逆らって回転させたりする能力に優れています。モータの性能を評価する場面でも、回転軸まわりの力と作用距離の積としてトルクを捉えると、後述する計算式の理解がスムーズになります。

単位N·MとMN·Mの使い分け

トルクの国際標準単位はN·m(ニュートンメートル)です。回転軸から1mの距離にある点に1N(ニュートン)の力を加えたときの回転力を1N·mと定義します。一方、小型モータの分野ではN·mの1000分の1にあたるmN·m(ミリニュートンメートル)が一般的に用いられます。主な単位の関係は以下のとおりです。

単位説明
N·m(ニュートンメートル)SI基準単位。回転軸から1mの点に1Nの力を加えたときの回転力
mN·m(ミリニュートンメートル)N·mの1000分の1。小型モータの仕様書で一般的に使用
kgf·m(キログラム重メートル)旧単位。現在のSI単位への換算が必要

N·m=kgf·m×9.80665

仕様書を読む際にN·mとmN·mの桁を見誤ると、計算結果が3桁ずれるおそれがあります。特にマイクロモータの選定ではmN·mレベルのトルク値を扱うため、単位の確認を習慣づけると計算ミスの防止につながります。

トルクと回転数の反比例の関係

DCモータのトルクと回転数は、供給電圧が一定のとき、一般的に反比例の関係にあります。負荷が大きく、強いトルクが求められる状況では回転速度が低下し、負荷が軽ければより高速に回転する仕組みです。

トルクと回転速度の関係を視覚的に示したものがS-T特性(速度-トルク特性)グラフです。S-T特性グラフでは縦軸にトルク、横軸に回転速度をとり、右下がりの直線で両者の関係を表します。モータ選定の場面では、装置に必要な動作点(トルクと回転速度の組み合わせ)がモータの性能範囲内に収まるかをグラフ上で判断できます。S-T特性の読み方を押さえておけば、複数のモータ候補の客観的な比較が可能です。

モータのトルク計算式と求め方

モータのトルク計算|求め方と選定への生かし方

モータのトルクは、出力と回転数から計算式で算出が可能です。

このセクションで解説する内容

  • トルクを基本式で求める
  • 起動・定格・最大の3種類のトルクを把握する
  • 負荷トルクと安全率を考慮する

計算式の使い方と、選定に必要なトルクの考え方を順に整理します。

トルクを基本式で求める

モータのトルクを求める基本式は「T=9550×P/N」です。Tはトルク(N·m)、Pは出力(kW)、Nは回転数(rpm)を表します。9550の係数は、出力とトルクの物理関係式「P=T×2πN/60÷1000」を変形して導かれた数値です。60000÷2π≒9550と整理されるため、出力と回転数の2つの値からトルクを算出できます。

例えば、出力2.7W・回転数17000rpmのモータであれば、T=9550×(2.7÷1000)÷17000≒0.0015N·m=1.5mN·mです。小型モータでは出力がW(ワット)単位で表記される場合もあるため、kWへの変換を忘れずに計算する必要があります。算出結果はN·m単位となり、mN·m単位のモータ仕様と比較する際は1000倍の換算が必要です。基本式の構造を理解しておくと、条件が異なるモータにも応用できます。

起動・定格・最大の3種類のトルクを把握する

モータのトルクには、動作の局面に応じて3種類あります。起動トルクは停止状態から回転を始める瞬間に発生するトルク、定格トルクは連続運転で安全に出力できる上限、最大トルクは短時間で発揮できる瞬間的な限界値です。

トルクの種類説明主な確認場面
起動トルク停止状態から回転開始時に発生する力重い負荷の始動
定格トルク連続運転で安全に出力できる上限値通常運転時の設計基準
最大トルク短時間で発揮できる瞬間的な限界値過負荷・衝撃負荷の耐性確認

確認すべきトルク項目は製品や資料によって異なるため、仕様表や特性図で起動・定格・最大などの記載項目を個別に確認します。用途に応じて、どの種類のトルクを優先するかを事前に整理しておくと、選定の判断基準が明確になります。

負荷トルクと安全率を考慮する

実際のモータ選定では、装置を駆動するために必要な負荷トルクを正確に算出する必要があります。負荷トルクは単純な回転抵抗だけでなく、複数の要素が組み合わさって決まります。算出で考慮すべき主な構成要素は以下のとおりです。

【負荷トルクの構成要素】

  •  摩擦抵抗による摩擦トルク
  •  回転体の慣性モーメント
  •  加速時に加わる加速トルク

必要トルクの考え方や安全率の目安は、モータの種類やメーカーの選定基準によって異なるため、使用する製品の技術資料に沿って確認します。安全率を設定する理由は、実際の使用環境では温度変化や経年劣化による負荷の増加が想定されるためです。定格トルクが「負荷トルク×安全率」を上回るモータを選ぶと、長期にわたり安定した運用が見込めます。

トルク計算を生かしたモータ選定の実務ポイント

モータのトルク計算|求め方と選定への生かし方

トルク計算の結果をモータ選定の実務に生かすには、いくつかの実践的な視点が必要です。

このセクションで解説する内容

  • ギアードモータで回転数を落としトルクを増やす
  • モータの種類ごとにトルク特性を比較する
  • 小型モータのトルク計算で単位換算に注意する

計算知識を選定実務に結びつける具体的なポイントを整理します。

ギアードモータで回転数を落としトルクを増やす

ギアードモータは、モータとギアヘッドを一体化した製品です。ギアヘッドの歯車によって回転数を減速させると同時に、トルクを増大させる仕組みを持っています。出力トルクの計算式は以下のとおりです。

出力トルク = モータの定格トルク × 減速比 × 減速機効率

 

減速比を大きくするほど回転数は低下し、その分だけトルクは増大します。ただし、歯車の伝達効率によるロスが発生するため、実際の出力トルクは理論値より低い値です。モータ単体では必要なトルクに満たない場合でも、ギアードモータを選定すれば要件を満たせるケースがあります。トルク計算の結果から定格トルクが不足する際には、ギアードモータの活用も有効な選択肢です。

モータの種類ごとにトルク特性を比較する

モータの種類によってトルク特性は異なるため、用途に合った種類を選ぶ必要があります。代表的なモータのトルク特性は以下のとおりです。

モータの種類主なトルク特性
DCモータ起動トルクが高く、電流に比例してトルクが増加
ブラシレスDCモータ広い回転数範囲で安定したトルクを発揮し、速度制御が容易

DCモータは電流に比例してトルクが増加する特性を持ち、制御がシンプルです。ブラシレスDCモータは機械的接触が少ないため摩耗が抑えられ、長寿命な運用に適しています。モータの回転速度-トルク特性を比較し、使用条件に適した種類を選定すると、装置全体の性能を引き出せます。

小型モータのトルク計算で単位換算に注意する

小型モータではトルクの値がmN·m(ミリニュートンメートル)レベルとなり、N·mとの単位換算を誤ると3桁分のずれが生じるおそれがあります。仕様書の数値を読む段階から単位の確認を徹底すると、選定ミスを防ぐ上で有効です。

また、コアレスモータのように鉄芯を持たない構造のモータでは、コギングトルク(鉄芯と磁石の磁気的干渉で発生する微小な回転ムラ)が発生せず、滑らかな回転特性を生かした精密制御に適しています。用途や使用条件に合わせた最適なモータを選定するには、求めるトルク値・回転数・駆動電圧などの条件をモータメーカーに具体的に伝えると、効率よく候補の絞り込みが可能です。

 

まとめ

モータのトルク計算|求め方と選定への生かし方

モータのトルクは「力×距離」で定義される回転力の指標です。基本計算式「T=9550×P/N」を用いると、出力と回転数からトルクを算出できます。選定時には起動・定格・最大の3種類のトルクを理解し、安全率の目安は使用するモータの技術資料に沿って設定することが重要です。ギアードモータを活用すれば、減速比に応じたトルクの増大も可能です。小型モータではmN·m単位での計算となるため、単位換算にも注意が求められます。トルク計算の基礎を押さえた上で、用途に最適なモータの選定にお役立てください。

 

 

製品情報・お問い合わせ

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