アクチュエータは、電気や空気圧などのエネルギーを機械的な動きに変え、装置を動かす駆動装置です。工場の自動化設備だけでなく、自動ドアやセキュリティドアの施錠・解錠にも活用されています。
セキュリティドアでは、入退室管理システムと連携し、認証結果に応じてロック機構を動かす役割を担います。一方で、種類や仕組みを理解しないまま選定すると、必要な力や耐久性が不足するおそれがあります。
当記事では、アクチュエータの仕組みや種類、主な用途、セキュリティドアでの活用方法、選定時のポイントを解説します。
| 監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ 1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。 |
アクチュエータとは

アクチュエータは、自動ドアや産業用ロボット、医療機器など、身近な設備から高度な機械まで幅広く使われています。しかし、具体的にどのような役割を担い、モータと何が違うのか分かりにくい方もいるでしょう。
まずは、アクチュエータの基本的な役割と、混同されやすいモータとの違いを解説します。
アクチュエータの概要
アクチュエータとは、電気や空気圧、油圧などのエネルギーを機械的な動きに変換し、機械や装置を動かす駆動装置です。回転・直線・角度など、用途に応じた動きを生み出す役割を担います。
例えば、バルブの開閉や自動ドアの動作、ロボットの関節駆動などに活用されています。セキュリティドアでは、電気錠や自動開閉機構などの構成に応じて、アクチュエータが施錠・解錠や開閉に必要な動きを生み出します。
このようにアクチュエータは、エネルギーを用途に応じた動きへ変換し、機械や装置の動作を支えています。
アクチュエータとモータの違い
アクチュエータとモータは、どちらも機械や装置を動かすために使われますが、役割が異なります。主な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | モータ | アクチュエータ |
| 主な役割 | 動力を生み出す | 目的に応じた動きを生み出す |
| 基本的な動き | 回転運動 | 回転・直線など |
| 構成 | モータ本体 | モータやギア、スクリューなど |
| セキュリティドアでの役割 | 動力を生み出す | 動力を施錠・解錠の動きへ変える |
セキュリティドアに例えると、モータは「力を生み出す部分」、アクチュエータは「生み出した力を施錠・解錠に必要な動きへ変える仕組み」です。電動アクチュエータでは、モータの回転をギアやスクリューなどを介してデッドボルトやラッチなどのロック機構の直線運動へ変換し、ロック機構を動かすことでドアの施錠・解錠を可能にします。
アクチュエータの仕組み

アクチュエータは、外部から供給されたエネルギーを目的に応じた動きへ変換することで、機械や装置を動作させます。また、センサーや制御装置と組み合わせることで、動作のタイミングや位置などを細かく制御できます。
ここでは、アクチュエータがエネルギーを運動へ変換する仕組みと、制御システムとの連携について解説します。
エネルギーを運動へ変換する仕組み
アクチュエータは、電気や空気圧、油圧などのエネルギーを、回転や直線などの動きへ変換する仕組みを備えています。エネルギーを動力源に伝え、用途に応じて動きの方向や大きさを変えることが基本原理です。
電動アクチュエータでは、モータが電気エネルギーを回転運動に変え、ギアやスクリューを介して直線運動や角度を変える動きへと変換します。空圧・油圧アクチュエータは、シリンダ内の空気や作動油に圧力をかけ、ピストンを移動させることで力を生み出す仕組みです。
使用するエネルギーや構造は異なりますが、目的に合った動きを生み出す点は共通しています。
制御システムとの連携
アクチュエータは、センサーや制御装置と連携することで、動作のタイミングや速度、位置などを細かく調整できます。機械や装置を目的どおりに動かすには、駆動するだけでなく、必要なタイミングで正確に制御することが重要です。
セキュリティドアでは、入退室管理システムからの信号を受けてアクチュエータが作動し、認証結果に応じて施錠・解錠を行います。システムの構成によっては、ネットワークを通じたドアの状態確認や開閉履歴の管理にも対応可能です。
アクチュエータと制御システムの連携により、利便性とセキュリティ性を両立できます。
アクチュエータの主な種類

アクチュエータは、動力源によって電動・空圧・油圧などに分類されます。種類によって制御のしやすさや発揮できる力、必要な設備などが異なるため、用途や設置環境に合わせた選定が重要です。
代表的な3種類の特徴を以下の表にまとめました。
| 種類 | 動力源 | 主な特徴 | 向いている用途 |
| 電動アクチュエータ | 電気(電力) | 制御しやすく、位置や速度を調整しやすい | セキュリティドア、自動化設備、精密機器 |
| 空圧アクチュエータ | 圧縮空気 | 動作が速く、構造が比較的シンプル | 製造ライン、搬送装置、繰り返し動作 |
| 油圧アクチュエータ | 作動油 | 大きな力を発揮しやすい | 大型防護扉、車両ゲート |
電動式は細かな制御、空圧式は素早い動作、油圧式は大きな力を必要とする用途に適しています。以下に、それぞれの仕組みや特徴を詳しく解説します。
電動アクチュエータ
電動アクチュエータは、モータを動力源として機械や装置を動かすタイプです。モータの回転をギアやスクリューなどに伝え、回転運動だけでなく、直線運動や角度を変える動きも生み出せます。
動作の位置や速度を細かく調整しやすく、高い制御性が求められる用途に適しています。また、空圧や油圧のような圧力を供給する設備が不要なため、比較的導入しやすい点も特徴です。
産業用ロボットや自動化設備をはじめ、セキュリティドアの施錠・解錠機構など、幅広い用途で活用されています。
空圧アクチュエータ
空圧アクチュエータは、圧縮した空気の力で機械や装置を動かすタイプです。シリンダ内に圧縮空気を送り込み、ピストンを移動させることで直線運動などを生み出します。
動作が速く、構造も比較的シンプルなため、製造ラインの搬送や部品の押し出しなど、繰り返し動作が求められる用途に適しています。ただし、使用にはコンプレッサーをはじめとする圧縮空気の供給設備が必要です。
食品工場、製造設備など、速度やシンプルな構造による保守性が重視される現場で広く活用されています。
油圧アクチュエータ
油圧アクチュエータは、高い圧力をかけた作動油の力で機械や装置を動かすタイプです。油圧ポンプからシリンダへ作動油を送り込み、ピストンを押すことで大きな力を生み出します。
小さな機構でも大きな力を発揮しやすいため、重い物体を動かす用途に適しています。代表的な活用例は、ショベルやクレーンなどの建設機械、産業用プレスです。
一般的なセキュリティドアでの採用は多くありませんが、大型ゲートなど大きな力が必要な設備では選択肢となります。
アクチュエータの主な用途

アクチュエータは、機械や装置に必要な動きを生み出す部品として、さまざまな分野で活用されています。用途によって求められる出力や精度、動作速度などが異なるため、目的に応じた方式が選ばれます。
ここでは、代表的な活用分野として、産業機器・FA設備、医療機器・精密機器、自動ドア・セキュリティドアを紹介します。
産業機器・FA設備
アクチュエータは、工場の製造ラインやFA設備で幅広く活用されています。FAとは「ファクトリーオートメーション」の略で、工場の生産工程を自動化する仕組みです。
例えば、部品を運ぶコンベアやロボットアーム、製品を決められた位置へ動かす位置決め装置などに使われています。電動式は細かな位置調整、空圧式は素早い繰り返し動作など、それぞれの特徴を生かして使い分けられます。
アクチュエータは、生産工程の自動化や作業効率の向上を支える重要な部品です。
医療機器・精密機器
アクチュエータは、正確で細かな動きが求められる医療機器や精密機器にも活用されています。わずかな位置のずれが機器の性能に影響するため、高い制御性が必要です。
例を挙げると、手術支援ロボットの関節動作や医療用ポンプの駆動、検査装置における試料の位置決めなどに使われています。小型のアクチュエータを採用すれば、限られたスペースにも組み込みやすくなります。
高精度な動作と小型化を両立できる点が、医療機器や精密機器で活用される理由です。
自動ドア・セキュリティドア
アクチュエータは、自動ドアの開閉やセキュリティドアの施錠・解錠にも活用されています。センサーや認証装置から受け取った信号に応じて、ドアやロック機構を動かす役割を担う装置です。
自動ドアでは、人感センサーなどと連携し、人の接近を検知して開閉を制御します。セキュリティドアの場合は、ICカードや生体認証などの入退室管理システムと組み合わせ、認証結果に応じて施錠・解錠を行います。
ドアの利便性を高めながら、安全な入退室を支えることがアクチュエータの重要な役割といえるでしょう。
セキュリティドアでアクチュエータが活用される理由

セキュリティドアには、不正な入退室を防ぐため、確実かつ適切なタイミングで施錠・解錠する機能が求められます。アクチュエータを活用すれば、認証装置や入退室管理システムからの信号に応じてロック機構を動かし、施錠・解錠を自動化できます。
ここでは、セキュリティドアにアクチュエータを導入する主なメリットを解説します。
施錠・解錠を自動化できる
アクチュエータを活用すれば、セキュリティドアの施錠・解錠を自動化できます。モータで生み出した力をギアやスクリューへ伝え、ロック機構を動かす仕組みです。
手動の鍵とは異なり、認証装置などからの信号に応じて施錠・解錠を行うため、施錠忘れの防止につながります。人の操作に頼らず、決められた条件でロック機構を動かせる点もメリットといえるでしょう。
停電や非常時への対応が必要な場合は、バックアップ電源や手動で解錠できる機構を含めた設計が重要です。
入退室管理システムと連携できる
アクチュエータは、入退室管理システムと連携することで、セキュリティドアの安全性を高められます。ICカードや暗証番号、生体認証などで利用者を確認し、認証された場合にロック機構を動かす仕組みです。
許可された利用者だけが入室できるため、物理的な鍵の受け渡しや複製に伴うリスクを抑えやすくなります。システムによっては、利用者や通過した時間などの記録も保存可能です。
入退室の制限と記録を組み合わせることで、施設のセキュリティ管理を強化できます。
遠隔操作や集中管理に対応できる
ネットワークと連携したシステムを構築すれば、複数のセキュリティドアをまとめて管理できます。管理者が一か所から施錠・解錠の操作やドアの状態確認を行える点がメリットです。
たとえば、オフィスビルや工場など、管理するドアが多い施設では、一つずつ現地で確認する手間を減らせます。システムによっては、異常の通知や開閉履歴の確認にも対応可能です。
遠隔操作や集中管理は、施設全体のセキュリティを維持しながら、管理業務の効率化にもつながります。
セキュリティドア向けアクチュエータを選定する際のポイント

セキュリティドア向けのアクチュエータは、必要な力を発揮できればよいわけではありません。長期間にわたって安定した動作を維持するには、ドアの構造や使用頻度、設置環境などを考慮して選定する必要があります。
ここでは、選定時に確認したいトルク・耐久性・静音性・消費電力の4つのポイントを解説します。
必要なトルクを確認する
セキュリティドア向けのアクチュエータを選ぶ際は、施錠・解錠に必要なトルクを確認することが重要です。トルクとは物体を回転させる力で、ドアやロック機構の構造によって必要な大きさが異なります。
トルクが不足すると、ロック機構を十分に動かせず、施錠が不完全になったり動作が不安定になったりするおそれがあります。選定時には、アクチュエータの出力と実際の負荷条件を照らし合わせる必要があるでしょう。
大型ゲートなど大きな力が必要な設備では、用途に応じて空圧式や油圧式も選択肢となります。
耐久性と信頼性を確認する
セキュリティドアは繰り返し使用されるため、アクチュエータには長期間の動作に耐えられる耐久性と信頼性が求められます。使用頻度が高い施設ほど、部品の摩耗や故障による影響を考慮した選定が重要です。
製品を比較する際は、動作寿命や耐久回数(サイクル数)、使用温度範囲、防塵・防水性能などを確認しましょう。屋外や工場などでは、温度変化やほこり、水分といった設置環境も考慮する必要があります。
用途や環境に適した製品の採用が、安定したセキュリティ運用とメンテナンス負担の軽減につながります。
静音性を確認する
オフィスや医療施設、ホテルなどでは、アクチュエータの静音性も重要な選定ポイントです。施錠・解錠のたびに大きなモータ音やギア音が発生すると、利用者の快適性を損なう可能性があります。
動作音を抑えるには、低騒音のモータや精度の高いギアを採用した電動アクチュエータが有効です。特に病棟や会議室の近く、夜間も利用する施設では、わずかな動作音が気になる場合もあるでしょう。
設置場所の利用環境を踏まえ、必要な静音性能を備えた製品を選ぶことが大切です。
消費電力を確認する
セキュリティドア向けのアクチュエータを選ぶ際は、消費電力も確認する必要があります。多数のドアを運用する施設では、1台あたりの消費電力が小さくても、施設全体では電力コストに影響する可能性があるためです。
高効率なモータや待機電力を抑えた製品を選べば、消費電力の削減につながります。また、停電時に電池やUPS(無停電電源装置)を使用する場合、消費電力は必要なバックアップ容量を決める要素の一つです。
定格電圧や電流値も確認し、運用条件に合った製品を選定しましょう。
まとめ

アクチュエータは、電気や空気圧などのエネルギーを機械的な動きに変え、装置の開閉や位置決めを支える駆動装置です。セキュリティドアでは、施錠・解錠の自動化や入退室管理システムとの連携により、安全性と管理効率の向上に貢献します。
ただし、必要な性能はドアの重量や使用頻度、設置環境によって変わります。安定した動作を実現するには、トルク・耐久性・静音性・消費電力などを確認し、用途に合ったアクチュエータを選ぶことが重要です。
特に電動アクチュエータでは、内部に使われるモータの性能も、動作の安定性や耐久性を左右する重要な要素です。アクチュエータの用途や求める性能に応じて、適切なモータを選定しましょう。
製品情報・お問い合わせ
タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。
【製品サイト】
→ タキロンシーアイのマイクロモータ製品一覧はこちら
【コアレスモータ】
コアレスモータとは、コイルの内側に鉄芯(コア)を持たない構造のモータを指します。一般的なモータと異なり、回転子(ローター)に鉄芯がないため重量を軽くでき、高速回転時の応答性に優れています。また、鉄芯が ない分コギング(回転時の引っかかり感)が少なく、安定した回転特性を得られるのも大きな特徴です。
→ コアレスモータの製品一覧はこちら
【ブラシレスモータ】
ブラシレスモータは、ブラシモータ(コアレスモータ等)が有しているブラシと整流子を持たない代わりに、電気的な制御機構を持つ構造となります。動作させるためには制御用回路が必要となり、ホールICによりロータの磁力を検出することで電気的に回転を制御します。また、ブラシと整流子の摺動が無くなることにより、モータの寿命がブラシモータよりも長い特徴があります。
→ ブラシレスモータの製品一覧はこちら
【ギアードモータ】
モータの出力軸に接続することで回転数を落とし、トルクを増大させる機構となります。
種類は主に、シンプルな構造で効率が良い平歯ギアヘッドと機械的強度が高い遊星ギアヘッドがあります。
→ ギアードモータの詳細はこちら
【エンコーダモータ】
エンコーダ(ロータリーエンコーダ)は回転方向、角度をセンサーで検出、検出した位置情報を電気信号として出力する装置になります。
センサーの検出方法は光学式と磁気式の2種類があり、出力方式はインクリメンタル型とアブソリュート型があります。
タキロンシーアイではモータ外径φ12、φ16、φ22のサイズに取り付けが可能です。
→ エンコーダモータの製品一覧はこちら
お客様の製品開発における小型モータ選定でお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。技術担当者が用途や要件をヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。
お問い合わせ:https://cik-ele.com/contact/







