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モータ巻線とは?種類・用途・設計を解説

モータ巻線とは?種類・用途・設計を解説

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モータの性能を決定づけるもっとも重要な要素の一つが「巻線」です。巻線とは、銅線やアルミ線などの導線をコイル状に巻いたもので、電流を流すことで磁場を発生させ、ほかの磁場(永久磁石や別巻線)との相互作用でモータの回転力を生み出す心臓部といえます。産業用モータから医療機器、光学機器、セキュリティ機器まで、幅広い分野で使用されるモータにおいて、巻線の材料・種類・巻き方・設計は、性能・効率・耐久性・信頼性のすべてに直結します。

本記事では、モータ巻線の基本原理から材料の種類、製造方法、用途別の選定基準、抵抗値の測定と管理、設計の最適化ポイントまで、B2B技術者が知っておくべき知識を体系的に解説します。モータ設計・製品開発に携わる技術者の方々にとって、巻線技術を理解しておくことは、最適なモータ選定と性能最大化において重要です。

 
監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ

1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。

 

モータ巻線の基礎知識と材料の種類

モータ巻線とは?種類・用途・設計を解説

モータ巻線は、絶縁被膜で覆われた導線をコイル状に巻いたもので、電流を流すことで磁場を発生させ、磁場の相互作用によってモータの回転力を生み出します。

このセクションで解説する内容

  • 巻線がモータで果たす3つの役割
  • 銅巻線とアルミ巻線の性能比較
  • 絶縁被膜の種類と選定基準

巻線は固定子(ステータ)や回転子(ロータ)に配置され、その手法はモータの種類によって多種多様です。導線材料には銅線とアルミ線があり、絶縁被膜にはポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルイミドなどがあります。これらの材料と絶縁被膜の組み合わせがモータの性能と信頼性を左右します。

 

巻線がモータで果たす3つの役割

巻線はモータにおいて、以下の3つの重要な役割を果たします。

【巻線の3つの役割】

  • 電流を流すことで磁場を発生させる
  • 磁場の強さと分布を制御してトルクと回転速度を決定する
  • 発生する熱(銅損)を適切に放散する

巻線の巻数や配置によって磁場の強さが変わるため、モータの性能を左右するもっとも重要な要素です。例えば、巻数を増やすと磁場が強くなりトルクが向上しますが、同時に抵抗値も上昇します。また、線積値(線径の2乗×巻数)によって性能特性の調整が可能です。医療機器や光学機器では、この巻線設計の精度が製品の信頼性に直結します。

 

銅巻線とアルミ巻線の性能比較

巻線材料の選定は、モータの用途と求められる性能によって決まります。以下に銅巻線とアルミ巻線の主な特性を示します。

項目銅巻線アルミ巻線
電気伝導性高い(抵抗率1.68×10⁻⁸Ω·m)銅の約60%
比重8.92.7(軽量)
コスト高い低い
主な用途小型・高性能モータ大型・車載用モータ
銅巻線は電気伝導性が高く、損失(I²R)を抑えやすいため、効率や温度上昇の面で有利になりやすく、モータ用途でもっとも一般的です。高性能・小型化が求められる医療機器や光学機器では銅巻線が選ばれます。一方、アルミ巻線は軽量でコストが低い反面、同等性能を得るには太い線径が必要です。大型産業用モータや車載用途では軽量化のためアルミ巻線が採用されます。

絶縁被膜の種類と選定基準

絶縁被膜の選定は使用環境の温度がもっとも重要です。以下に主な絶縁被膜の特性を示します。

被膜の種類耐熱温度耐熱クラス主な特徴と用途
ポリウレタン(UEW)120℃Eクラス直接はんだ付け可能、小型モータに適する
ポリエステル(PEW)155℃Fクラス汎用モータに広く使用される
ポリエステルイミド(EIW)180℃Hクラス耐熱性に優れており、耐熱汎用モータで使用される。

ポリウレタン線は直接はんだ付けが可能で小型モータに適する一方、高温環境には不向きです。ポリエステル線は汎用モータに広く使用され、バランスの取れた特性を持ちます。ポリエステルイミド線は耐熱性に優れており、長時間の連続運転でも安定した性能を発揮します。用途に応じた適切な絶縁被膜の選定は、モータの信頼性と寿命を左右する重要な判断基準です。

 

モータ巻線の製造方法と用途別選定

モータ巻線とは?種類・用途・設計を解説

モータ巻線の製造には、巻線方式と製造方法があり、それぞれの特性を理解した選定が求められます。

このセクションで解説する内容

  • 分布巻・集中巻・コアレス巻線の特性比較
  • スピンドル方式・フライヤー方式・ノズル巻きの使い分け
  • 医療機器・光学機器・セキュリティ機器向け巻線の要件

以下に、分布巻や集中巻など各種巻き方について、スピンドル方式やフライヤー方式などの製造方法について分かりやすく解説していきます。

 

分布巻・集中巻・コアレス巻線の特性比較

巻線方式によってモータの性能特性は大きく変わります。以下に主要な3方式の特性を示します。

巻線方式特徴メリット主な用途
分布巻複数のスロットに巻線を分散配置磁場が均一
トルクリプル少
振動・騒音低減
大型産業用モータ
医療機器
集中巻一つのティースに巻線を集中生産効率高
銅線使用量少
コスト削減
車載用モータ
小型モータ
コアレス巻線鉄心を持たない構造コギングトルクぼゼロ
高速応答性
滑らかな回転
医療機器
光学機器
精密機器

分布巻は複数のスロット(鉄心の溝)に巻線を分散配置するため磁場が均一で、トルクリプルが少なく振動・騒音の抑制に有効です。一方の集中巻は、一つのティース(鉄心の突起部)に巻線を集中させる構造により、巻線工程が簡略化され生産効率が高く、銅線使用量も少ないためコスト削減できます。鉄心を持たないコアレス巻線は、コギングがほとんど発生せず滑らかな回転を実現し、慣性モーメントが小さく高速応答性に優れます。タキロンシーアイのコアレスモータは、こうした特性から医療機器や光学機器などの精密用途に適した製品です。

 

スピンドル方式・フライヤー方式・ノズル巻きの使い分け

製造方法の選定は、コイルの形状、生産量、精度要求によって決まります。

【主な製造方法】

  • スピンドル方式:高速回転する軸に銅線を巻きつける
  • フライヤー方式:固定されたコアに対してフライヤー(アーム)が回転
  • ノズル巻き:専用機械で精密な巻線を実現

スピンドル方式は高速回転する軸に銅線を巻きつける手法であり、高効率な大量生産に適しています。固定されたコアに対しフライヤー(アーム)が回転するフライヤー方式は、複雑な形状や大径コイルへの対応が可能で、主に整流子モータのロータ巻線に用いられます。

また、専用機械で精密な巻線を行うノズル巻きは、高精度を要する医療機器や光学機器向けの有力な選択肢です。巻線後のワニス処理は振動や熱による変形を防ぐだけでなく、機械的強度と絶縁性能を向上させる役割を果たします。

 

医療機器・光学機器・セキュリティ機器向け巻線の要件

用途別の巻線要件を理解することで、最適なモータ選定が可能になります。以下に主要分野の要件を示します。

分野求められる性能技術的要件タキロンシーアイの対応
医療機器高精度制御コギングレス
低振動・低騒音、長寿命
コアレスモータで滑らかな回転実現
光学機器高速AF
手ブレ補正
高速応答性(ms単位)
位置決め精度(μmオーダー)
高応答コアレスモータで精密制御
セキュリティ機器電池駆動
長寿命
低電圧駆動(1.0V~3.0V)
省電力
最低1.0Vで動作するモデル提供

医療機器ではコギングトルクがほとんどなく滑らかな回転、高精度な速度制御、低振動・低騒音、長寿命が求められます。光学機器ではカメラのオートフォーカスやレンズ駆動に高速応答性と位置決め精度が必要です。セキュリティ機器では低電圧駆動(1.0V~3.0V)と長寿命(電池交換頻度低減)が重要です。タキロンシーアイのマイクロモータは最低1.0Vで動作するモデルもあり、分野の要求に最適なソリューションを提供します。

 

モータ巻線の抵抗測定と設計最適化

モータ巻線とは?種類・用途・設計を解説

モータ巻線の抵抗値は、モータの性能と品質を評価するもっとも重要な指標です。

このセクションで解説する内容

  • 巻線抵抗の計算式と測定方法
  • 温度上昇による抵抗値変化と熱設計
  • 用途別の巻線設計最適化とカスタマイズ対応

巻線抵抗は巻線の長さ、線径、材料の電気抵抗率によって決まり、モータの電流、トルク、発熱、効率に直接影響します。製造工程では導通試験と抵抗値測定が実施されており、許容誤差は製品仕様・規格・メーカー基準によって設定されるものです。目安として抵抗値を±10%程度で管理する例もあります。また、温度が10℃上昇すると銅線の抵抗値は約4%増加するため、適切な冷却設計が必要です。設計では用途に応じた巻線材料、巻数、線径、巻線方式、絶縁被膜、熱管理を総合的に最適化します。

 

巻線抵抗の計算式と測定方法

巻線抵抗の正確な理解と測定は、モータの品質管理に欠かせません。巻線抵抗Rは、以下の式で計算されます。

【巻線抵抗の計算式】

R=ρ×L / A

ρ:材料の電気抵抗率(Ωm)

L:導線の長さ(m)

A:導線の断面積(m²)

巻数を増やすと巻線長Lが増加して抵抗が上昇し、線径を太くすると断面積Aが増加し抵抗が低下します。例えば、線径0.1mmと0.2mmの銅線を同じ巻数で比較した場合、断面積が4倍となる後者の抵抗値は約4分の1にまで減少する計算です。

巻線完成後、デジタルマルチメータやミリオームメータを用いて抵抗値を測定し、設計値との整合性を確認します。併せて耐電圧試験による絶縁性能の検査も、品質保証において不可欠な工程です。タキロンシーアイでは厳格な品質管理のもと、高い信頼性を確保しています。

 

温度上昇による抵抗値変化と熱設計

モータ動作中の温度上昇は、性能と寿命に大きく影響します。銅線の抵抗値は温度係数0.004/℃で、温度が10℃上昇すると抵抗値は約4%増加します。

温度(℃)抵抗値変化率効率への影響
25℃(基準)100%基準
50℃約110%銅損(I²R)が約10%増
75℃約120%銅損(I²R)が約20%増
100℃約130%銅損(I²R)が約30%増

効率低下の割合は、総損失に占める銅損の比率で変わるため、上表は銅損増の目安として扱います。モータ動作中は巻線への通電により銅損が生じて発熱し、温度上昇により抵抗値が増加、効率が低下します。高温環境や高負荷運転では、耐熱性に優れたポリエステルイミド線などの絶縁被膜を選定し、放熱フィン・ファン冷却などによる冷却設計が不可欠です。また、ワニス処理により巻線を固定し、熱膨張による変形を防ぎます*。温度が10℃下がると寿命が約2倍になるため、適切な熱設計がモータの長寿命化に直結します。

*当社では固着という方法で対応している製品があります。

 

用途別の巻線設計最適化とカスタマイズ対応

用途に応じた巻線設計の最適化が、モータの性能を最大限に引き出します。以下に主要用途別の設計指針を示します。

用途巻線方式線径の傾向巻数の傾向設計上の狙い
高トルク
(産業用工具)
ブラシ付きDC(重ね巻・波巻)や集中巻ブラシレスDCが主流許容電流に応じて太線を選定Kt(トルク定数)を高めるため巻数を増やす方向磁束密度の最大化・銅損と発熱のバランス
高速回転
(精密機器)
集中巻が多い表皮効果抑制のため細線または並列巻を選定Ke(逆起電力定数)を下げるため巻数を減らす方向電気的時定数の低減
高精度制御
(医療・光学)
コアレス巻線コイルの機械的強度も考慮し選定低インダクタンスのため柔軟に設計コギングトルクの排除・滑らかな回転

産業用工具などの高トルク用途では、太い線径と多い巻数によって磁束密度を向上させます。一方、精密機器などの高速回転用途においては、巻数を抑えて逆起電力を低減する設計が一般的です。医療・光学機器では、高精度な制御を実現するためにコギングレスなコアレス巻線を優先します。タキロンシーアイでは、用途ごとの要求仕様を詳細にヒアリングし、小ロット試作から量産まで一貫してサポートしています。技術担当者が直接対応し、お客様の課題に対して最適なソリューションを提案可能です。

 

まとめ

モータ巻線とは?種類・用途・設計を解説モータ巻線は、電流による磁場の発生と相互作用を通じてトルクを生み出す心臓部です。材料には銅線やアルミ線が用いられ、絶縁被膜の種類によって耐熱性能が異なります。巻線方式や製造方法には多様な選択肢が存在しており、用途に応じた適切な選定が必要です。医療機器では高精度制御とコギングレス、光学機器では高速応答性など、分野ごとに求められる要素が重要です。巻線抵抗の管理と熱設計も性能と信頼性を左右します。

タキロンシーアイでは、コアレス巻線技術を活用した高精度なマイクロモータを、徹底した品質管理と要求仕様に応じたカスタマイズ対応で提供しています。

 

 

製品情報・お問い合わせ

タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。

お客様の製品開発における小型モータ選定でお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。技術担当者が用途や要件をヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。

 

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