製品設計や機械設計において、部品の破損や故障を防ぐために重要になるのが『安全率』の概念です。安全率とは、材料や部品が実際に受ける荷重に対して、どれだけの余裕を持たせるかを示す指標で、製品の信頼性を確保するための判断基準となります。
モータ選定において、想定される負荷に対して適切な安全率を設定することが、製品寿命の延長や故障リスクの低減に不可欠です。
本記事では、安全率の基本的な定義から計算方法、実務での決め方、機械設計における目安値まで、初心者にも分かりやすく解説します。
| 監修:タキロンシーアイ株式会社電子部品営業グループ 1919年の創業以来、プラスチック加工のリーディングカンパニーとして培った高度な技術力と知見に基づき、本記事を監修しています。当部では、超小型・高精度なマイクロモータの市場動向や最新技術を常に分析し、設計者や開発者の皆様へ付加価値の高い情報を提供することに注力しています。製品の特性を熟知した専門チームとして、正確かつ実用的なコンテンツの発信を通じて、お客様の課題解決と技術革新をサポートいたします。 |
安全率とは何か
安全率は、製品設計において材料や部品の安全性を確保するための基礎となる概念です。実際の使用環境では、設計時に想定した条件を超える負荷がかかる場合や、材料特性のばらつき、経年劣化などさまざまな不確定要素が存在します。これらのリスクに備え、適切な余裕度を設定することが安全率の役割です。
このセクションで解説する内容
- 安全率の定義と基本的な意味
- 製品設計で安全率が必要な理由
安全率を正しく理解することで、信頼性の高い製品設計が可能になります。以下では、安全率の具体的な定義と、なぜ設計において必要なのかを詳しく見ていきましょう。
安全率の定義と基本的な意味
安全率は「材料の基準強度÷実際に発生する応力」で算出される無次元の値で、設計上の余裕度を示します。基準強度には引張強さや降伏点などがあり、材料が耐えられる最大応力の指標です。一方で、実際に発生する応力は、使用時に部品にかかる荷重から算出される数値を指します。
例えば安全率が2.0の場合、材料の基準強度が実応力の2倍であることを意味します。これにより、想定外の負荷や使用環境の変化に対する安全マージンの確保が可能です。安全率が高いほど余裕度は大きくなりますが、過度な設定はコスト増を招くため、適切なバランスが求められます。
製品設計で安全率が必要な理由
実際の使用環境では、設計時に想定した荷重を超える負荷がかかる場合があります。また、材料の寸法や強度には製造時のばらつきが生じる可能性があり、経年劣化による材料特性の変化も避けられません。
さらに、使用者の操作方法や設置環境の違いなど、設計段階では予測しきれない要素が多く存在します。これらの不確定要素に対応し、製品の安全性と信頼性を確保するために安全率の設定が重要です。特に人命に関わる医療機器や、故障が大きな損失を招く産業機器では、各種規格やリスク評価に基づき、保守的な安全率を設定することが求められます。
安全率の計算方法と求め方

安全率の計算は、設計の基礎となる重要なステップです。正確な計算を行うためには、材料の基準強度と実際に発生する応力または荷重を正しく把握する必要があります。ここでは、安全率の計算式と具体的な計算手順を解説します。
このセクションで解説する内容
- 安全率の計算式と許容応力との関係
- 安全率の計算例
計算式を理解することで、実務での適切な設計判断が可能になります。以下では、安全率の基本的な計算方法から具体例まで、順を追って説明します。
安全率の計算式と許容応力との関係
安全率(S)は「基準強度(σB)÷実際に発生する応力(σ)」、または「破壊荷重÷使用荷重」として算出されます。許容応力は基準強度を安全率で割った値で、設計時に部品が受容できる応力の上限を示すものです。
基準強度には引張強さ、降伏点、疲労限度などがあり、使用条件に応じた選択を要します。静的荷重が主体の場合は降伏点を、繰り返し荷重を受ける部品では疲労限度を基準とするのが一般的です。許容応力の適切な設定は、材料を破壊させず安全に運用できる範囲の明確化につながります。この関係性を理解することが、信頼性の高い設計の第一歩です。
安全率の計算例
具体例として、引張強さ400MPa、降伏点230MPaの鋼材で、100MPaの応力が発生する部品の安全率を算出します。降伏点を基準とした場合、安全率は230÷100=2.3です。
この値は、実際の応力に対して2.3倍の余裕があることを示しており、一般的な機械設計においては妥当な範囲と判断される場合が多い目安の値です。一方、引張強さを基準に据えると安全率は400÷100=4.0となり、さらなる余裕度の確保が可能です。実際の設計では、静的荷重が主体なら降伏点、脆性材料や破断が許容されない用途では引張強さを選ぶなど、使用条件に応じた基準の選択を要します。
安全率の決め方と目安値

安全率の設定は、単に計算式に当てはめるだけでなく、使用条件や製品特性を総合的に判断する必要があります。適切な安全率を決定することで、製品の信頼性とコストのバランスを最適化できます。
このセクションで解説する内容
- 安全率を決定する際の考え方
- 機械設計における安全率の目安とモータ選定への応用
実務では業界標準や過去の実績を参考にしながら、個別の使用条件を考慮して安全率を設定します。以下では、安全率決定の具体的な考え方と目安値を解説します。
安全率を決定する際の考え方
安全率の設定では、荷重の性質(静的・動的・衝撃)、材料の信頼性とばらつき、使用環境(温度・湿度・腐食性)、保守点検の頻度、故障時の影響度などを総合的に評価します。
荷重が静的で予測可能な場合は低めの安全率でも問題ありませんが、衝撃的な荷重や繰り返し荷重を受ける場合は高めの設定が必要です。また、材料特性のばらつきが大きい場合や、使用環境が過酷な場合も安全率を高く設定します。保守点検が困難な部品や、故障が人命に関わる用途では、より慎重な判断が求められます。過度に大きな安全率は製品の重量増加やコスト上昇を招くため、適切なバランスが重要です。
機械設計における安全率の考え方とモータ選定
一般的な機械設計における安全率は、使用材料や荷重の性質(静的・動的・衝撃)によって適切な値を設定する必要があります。実際の設定は規格や用途により異なりますので、必ず産業規格や使用条件など用いられる機器について、適合した値を設定します。
モータ選定では起動時の衝撃負荷や慣性モーメントを考慮することが重要です。特に頻繁な起動停止を繰り返す用途や、高精度な位置決めが必要な用途では、モータの性能特性が製品全体の信頼性に大きく影響します。
タキロンシーアイのコアレスモータは、コギングトルクがほとんど発生せず、滑らかな回転特性を持つため、高精度な制御が可能です。低振動で長寿命な設計により、医療機器や産業機器など高い信頼性が求められる用途に適した選択肢の一つとなっています。
まとめ

安全率は、製品設計において安全性を確保するための指標で、材料の基準強度を実際に発生する応力で割って求められる無次元の数値です。実務では荷重の性質や使用環境、故障時の影響度などを総合的に判断して決定します。
モータ選定においても、起動時の負荷や慣性モーメントなどさまざまな要素を考慮することが重要です。タキロンシーアイのコアレスモータは、低振動・高精度・高信頼性を兼ね備え、医療機器や産業機器など高い信頼性が求められる用途にも採用されています。
製品情報・お問い合わせ
タキロンシーアイのマイクロモータ製品については、以下のウェブサイトで詳細をご覧いただけます。
- 製品サイト:https://cik-ele.com/
- コアレスモータ:https://cik-ele.com/products/list/coreless_motor/
- ブラシレスモータ:https://cik-ele.com/products/list/brushless_motor/
- ギアードモータ:https://cik-ele.com/products/list/gearhead/
- エンコーダ:https://cik-ele.com/products/list/encoder/
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